学生の皆さんコンバンワ、

 僕の会社では、毎朝朝礼で必ず5名ほどの社員に日々のニュースを2分でブリーフィングしてもらい、残りがそれに対して意見をいうというコトをしています。一見、自分たちのビジネスに関連がない分野であっても、広く社会の問題についてアンテナを張ることを学んでもらい(それは必ずビジネスに役に立ちます、)そしてそれについて議論することで高い議論能力を身に着けてもらうためです。

そんな中、神奈川県の公共の場での喫煙を全面的に禁じる条例の制定についてのネット上でのアンケートに、JT(日本たばこ)の社員が「反対」の組織票を投じたことがニュースにあがりました。

ニュースを取り上げた社員は、

1、個々の社員に対して力を背景に「喫煙条例に反対する」という反社会的な意見表明を強要するJTという会社は、非常に問題がある会社だ。

という意見を述べました。

それに対して別の社員は、

2、JTはたばこを売っている会社なのだから、その売っているサービスを否定するような条例に対して、社員が反対するのは決しておかしいことではない。

という意見を「反論」としてのべました。

この2つの意見、公共の場での喫煙に反対・賛成という意見対立にみえるのですが、実はそうではなりません。まず、この2つの意見に共通した認識は、

3、社員が自分の意見を表明できる会社がいい会社である。

ということです。

したがって、本当に問題なのは、「ここの社員の意見表明について会社が組織力をもって影響を及ぼそう」としたかどうか、という点なのです。

さらにそれを踏まえて、1の意見は「JTはそのような影響力を行使した」、2は「JTがそのような影響力を行使したのではなく、社員が自らそのような意見表明をした」と考え、その点に1と2の考え方の差異があります。議論するとすれば「喫煙・禁煙」ではなく、むしろ3の考えを前提とした「社員の自由な意見表明をJTが妨げていたのかどうか」という事実認識の差異について議論をしないといけないわけです。

1の意見を述べた社員は禁煙派、2を述べた社員は喫煙派なので、当の本人たちもなんとなく「禁煙・喫煙」の対立であるかのように考えてしまっていたのです。もし、この誤解にその後も気づかなければ彼ら2人は「禁煙か、喫煙か」という間違ったフレームの中で延々とかみ合わない議論をすることになったでしょう。

人と議論をするとき、大事なのは、

1)何が共通認識なのか。
2)その共通認識に基づいて、なにが違う点なのか。

ということを正確に把握することです。ディスカッションの極意とは、

1)そもそも「答え」のない議論をしないこと。単なる意見交換と議論を混同しないこと。
2)「答え」がある場合には、最短でそこに到達する道を考えること。

です。

人と議論する前にこういうことをちょっと考えてみると、無駄な時間をすごさなくてすむようになります。